投資初心者ではなく、ある程度の資産運用経験者であれば、行っていることですが、ご存じない方のために、一つの手段として、ご紹介します。
われわれ普通の投資家は、「あの企業の株が欲しい!」と思ったら、なりふり構わず、そこそこの株価で株式を購入してしまいます。
かのウォーレンバフェット氏であれば、もちろん、そんなことはしません。彼は、じっくり待ってその企業の価値よりも株価が下がったときにだけしか購入しないということなので。
よく野球のバッターに例えて「ストライクが来るまで、ずっと見逃し続ける」とか、人生の中でそういう絶好の購入のタイミングはめったにないことを「パンチカードに穴をあける数には限りがある」というような例えをされています。
残念ながら、われわれは「オマハの賢人」と呼ばれる世界一の投資家と違い、同じようなことはなかなかできず、何度となく、高値掴みをしてしまい、含み損と呼ばれる状況下で、長期間保有することになってしまいます。
しかし、手が全くないかというと、個人でも出来ることがあります。配当金受領時や、もし他で株式譲渡益があった場合に支払った所得税分を確定申告することで取り戻すことです。(NISA口座で受け取った配当金は、そもそも税金を支払ってないので、この場合は対象外になります)
いわゆる「損出し」という行為です。私の場合は、「信用取引」も証券会社に申し込んでいるので、「クロス取引」を行って実施しています。
なぜ、信用取引でのクロス取引を行うかというと、例えば、本日(2/22)に株価1,000円で買ったA社の株を売って、同日中に500円で買い直しても、購入単価は、
(1,000円+500円)÷2=750円
と平均化されてしまいます。初めて損出しを行った際に、私はこれを知らずに行ったため、翌日、証券会社のホームページで確認したら、A社、B社、C社、・・・と軒並みそうなっていて、ビックリした経験があります。
対策として、信用取引はやっていないという方は、
・方法1.翌日以降に再度購入するしかありません。ただ、翌日以降の株価が上がっているかもしれませんし、運よく下がっていて、もっと安く買えるかもしれません。
これをどうしても売価と買価を同じにしたい場合は信用取引を利用して、
・方法2.持っている現物株を株式市場の前場、後場の指値を「成行」にして始値で売るか、もしくは「不成」(指値が場中に成立しなかった場合、終値で成行売りをする)で売っておいて、反対にそれぞれ同じタイミングで信用取引の買いを入れておいて、翌日に信用取引で買った株を「現引」します。
「終値」でやり取りするほうが手間なので、前場か後場の「始値」で行ったほうがやさしいですね。
上記方法であれば、購入単価は平均化されないため、そのまま買値が購入単価になります。(上記、A社の場合だと、買値が500円の場合、購入単価も500円になります)
私はこれを年末までに大きく値下がりしてしまった株は毎年行っているため、保有している企業はほとんど、含み益に見えています。
ただ、メリットもあれば、デメリットもあります。
メリット | デメリット |
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・税還付が受けられる。 ・含み益に見えるため、長期的保有が精神的に楽 | ・売買手数料がかかる。 ・クロス取引を行う場合は証券会社の信用取引申請と審査が必要。 ・信用取引の場合、支払利息が発生する。 ・信用取引維持のため、証拠金を証券会社に預けておく必要がある。(私の例だと最低30万円) ・一定期間信用取引を行わないと、解除しなければならなくなる。 |
物の見方というか、別の側面での考え方ですが、含み損があるということは、株価が安くなっているということでもあり、バーゲンセールの買いのサインの場合もあるので、いわゆる「ナンピン買い(株価下落時の追加購入)」を行うチャンスなのかもしれません。ナンピン買いによる平均購入単価の引下げもできるわけです。
一概に損出しが必ず良いわけでもありませんし、ナンピン買いが良いのか、悪いのかもわかりません。場合によってどちらがよいのか、いえ、むしろ何もしないほうが良いのか、その時々の状況に応じて、われわれが判断する必要はありますが、そこが面白く、醍醐味でもあります。